アメリカの地方分権

2013年6月30日

日本でも日本維新の会やみんなの党が掲げる地方分権。意思決定や予算などを地方に任せることですが、アメリカでは建国以来、各州が力を持っていて、合衆国と言われるくらい州の集合体が国になっただけあって、地方分権も進んでします。今日は身近なアメリカの地方分権を紹介。

15年近くアメリカに在住しておりますが、その間にもいくつもの州を転々としました。最近、カリフォルニア州からイリノイ州に戻ってきましたが、その引越しの度に感じるのが、州の違い、いわゆる地方分権です。気候や物価が違うのは日本でも見られますが、法律やルールが州によって違うのはアメリカならではです。細かいことを挙げたらきりがないのですが、いくつか紹介したいと思います。

まず引越してやらなければならないのが、運転免許の更新です。アメリカでは州ごとに運転免許が管理されているので、他州に移り住む時は更新が必要になります。車の登録やナンバープレートも州ごとで管轄なのでこれも必要です。免許の更新には筆記試験を受け直す必要があり、交通ルールも多少違いがあるので、毎回勉強が必要になります。でも実地試験は他州の免許保持者には免除されることが多いです。ちなみにナンバープレートですが、これも州によって車の前後両方に付けなければいけない州や、前、もしくは後ろだけでいい州とあります。二輪車の運転に関してもヘルメット着用の義務がある州や、ヘルメットは必要ないが、サングラスを付けなければいけない州など色々です。ガソリンスタンドでもニュージャージー州のようにセルフサービス禁止の州や、セルフサービスのみの州もあります。高速道路に関しても、いわゆるフリーウェイといわれる無料の高速道路しかない州もあれば、イリノイ州のように都心にだけETCを設ける州、橋のみ有料にする州など、これもまちまちです。

もう一つ身近なのが消費税。日本では現在一律5%ですが、アメリカでは州、そして郡によって異なります。モンタナ州やオレゴン州のように消費税ゼロの州もあれば、カリフォルニア州のように多くの大都市が10%近い州もあります。ちなみに自分が以前住んでいたカリフォルニア州のある郡は9.数パーセントでした。それでも食料などの日常消耗品は1%台にするなど複数税率でした。アメリカでは消費税は地方税で、全て州財政になります。それぞれの州でゼロから10%と政策はまちまちです。ちなみに州の所得税率も異なります。テキサス州やフロリダ州は所得税はありません。一方でカリフォルニア州のように低所得者でも9%以上課税される州もあります。累進課税の州もあれば、全員一律で何パーセントという州もあります。ちなみにここイリノイ州は全員一律で5%です。この二つの税で面白いのが、ワシントン州とオレゴン州です。お隣通しの州ですが、ワシントン州は所得税がなく、消費税があります。一方でオレゴン州は所得税はありますが、消費税がありません。州境に住んでいる人はどういう心境なのでしょうか。

先週会社の弁護士と話をする機会があったのですが、そこで話題になったのがどうやってアメリカで弁護士になるのか。アメリカでは州ごとに司法試験が違います。弁護士免許はその州において有効なのです。他の州で弁護士として働く場合、その州の司法試験をパスする必要があるようです。それでも車の免許と一緒で、他州で弁護士資格があり、経験があれば、試験を免除されたりというのは州によってあるそうです。アメリカでは州によって法律は結構違います。同性の結婚を認める州や、死刑制度を持つ州と廃止している州、刑法から民法まで違いがあるのです。

アメリカの大統領は国民の投票によって選ばれると思っている方が多いと思います。正確には州の選挙人が大統領を選びます。選挙人の数はおおよそ州の人口に比例しますが、その選挙人がどの大統領に最終投票するのかも州によって違います。州民の投票数に比例して選挙人の投票を決める州や、得票数が一番多い候補に全票を投じる州もあります。面白いのはブッシュ大統領とゴア候補の選挙戦の時、国民の投票数はゴア氏が勝っていましたが、州の選挙人の投票数でブッシュ氏が上回っていたので、ブッシュ氏が大統領になりました。アメリカ大統領は州の選挙人が選ぶわけです。

その他にも教育、銃規制、ギャンブル、固定資産税、色々なことが州によって違うアメリカ。正直一市民にとっては州を跨ぐ毎に面倒くさいこともありますが、これだけ大きな国になると中央で一元的に管理するのはおそらく不可能なのでしょう。アメリカがここまで繁栄したのも、地方分権であり続けたからかもしれません。アメリカでは州知事は絶大な権限があります。州予算の管理から、教育改革、死刑執行のサインまで、大統領と同等の権限と仕事を州レベルで行うと言われます。大統領にあって州知事にないのは唯一外交と軍事だけと言うくらい、その他の仕事は全てミニチュアレベルで経験するので、過去に多くの大統領が州知事上がりだったのも偶然ではありません。レーガンやクリントン、ブッシュ、そして今回オバマ氏に破れましたがロムニー氏も州知事上がりです。日本でも地方分権が進めば、地方で優秀な県知事が総理大臣に推されることもあるかもしれません。国のトップの育成所としても、地方分権は価値あることだと思います。